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元銀行員が住宅ローンのすべてをわかりやすく説明します

公開日:2019年 4月14日
更新日:2019年 4月14日


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住宅ローンの担保、抵当権とは

住宅ローンは住宅を購入するための個人向け融資です。
銀行などの金融機関は融資をする際、すべてではありませんがその融資の引き当てとして保証人や担保を取ります。
住宅ローンにはそのローンの対象となる土地・建物に抵当権という担保権をを設定し、担保とするんです。
もし、住宅ローンの借主が住宅ローンを返済できなくなってしまえば、抵当権という担保権を使って、その対象の土地・建物を売却し住宅ローンを回収するんです。
つまり、住宅ローンが返済できなくなれば土地・建物を取り上げられてしまうんです。
ちょっと怖いですよね。
このページでは住宅ローンの担保である抵当権について説明します。


抵当権とは

そもそも担保は、お金を返さなかった場合(債務不履行)にそなえて、金融機関等の債権者にあらかじめ債権者に提供するものです。
住宅ローンを銀行から借入れた場合には、土地と建物を銀行に担保として提供しているわけです。
しかし、土地と建物そのものを提供してしまってはそこには住めませんよね。
そこで、普段は所有者が使用しつつ、「お金を返さなかった場合(債務不履行)」にのみ、金融機関等の債権者が売却(競売)し、その代金から優先的に債権を回収できるという権利を抵当権といいます。

抵当権には順位がある
土地と建物に抵当権は一つだけではなくいくつも付けられるんです。
ですからどの抵当権が優先なのかをはっきりさせるために、抵当権には順位が付けられます。
その順位を「第一順位」や「第二順位」と呼んでいます。
抵当権は優先的に債権を回収できる権利です。
「第一順位」の抵当権を持つ債権者が最初にに債権を回収し、その残った中から「第二順位」の抵当権を持つ債権者が債権を回収します。
ですから、住宅ローンの借入れ要件には「対象物件に対して第一順位の抵当権を設定」というのがあります。
金融機関は確実に回収したいので、第一順位の抵当権を設定を要件にしているんです。

抵当権の設定登記が必要
抵当権自体は登記をしなくても有効です。
しかし、債権者である金融機関が他の債権者よりも優先して権利を行使するためには、登記が必要になります。
そのため、住宅ローンの実行の際には必ず土地や建物に抵当権の設定登記をすることが求められます。

住宅ローンが返済できず抵当権が実行される場合

住宅ローンが返済できなければ債権者である金融機関は抵当権を実行します。
抵当権を実行するとは、裁判所に競売の申立てを行い、売却して資金を回収するんです。
しかし、すぐに抵当権が実行されるわけではありません。
金融機関も鬼じゃありませんから、返済条件の緩和などに応じてくれますし、話は聞いてくれます。
しかし、どうにもならない場合は抵当権を実行するんです。

住宅ローンに保証会社の保証が付いている場合
保証会社の保証がついている場合、一定期間以上返済しない期間が続くと、保証会社が金融機関に一括返済します。
その場合は債権者が金融機関から保証会社に代わります。
銀行などの金融機関は保証会社からお金を貰えば住宅ローンの借主とはおさらばです。
その後、住宅ローンの借主は保証会社に住宅ローンの返済をしなくてはなりません。
しかし、その返済もできなければ、抵当権者である保証会社は抵当権の実行をします。
保証会社の保証がついていようがいまいが、住宅ローンの返済ができないと、土地・建物は取られてしまうことになります。

住宅ローンを完済したら抵当権はどうなる?

住宅ローンを完済すれば、当然抵当権は消滅します。
しかし、抵当権利自体は消滅しても、登記簿には残ったままなんです。
抵当権は消滅したのに、自分の土地・建物の登記簿に抵当権が残ってるって何だか嫌ですよね。
登記簿から抵当権を消すには、抵当権の抹消登記をする必要があります。
金融機関から抵当権の抹消登記に必要な書類をもらい、最寄りの法務局に申請すれば抵当権の抹消登記ができます。

金融機関からもらう書類
・解除証書(弁済証書)
・抵当権設定契約証書
・当権抹消の委任状
・代表者事項証明書、登記事項証明書等
これらを添付し、抵当権抹消登記申請書を法務局に提出します。
登録免許税は不動産の個数×1,000円です。
司法書士に頼むこともできますが、その場合には、別途司法書士報酬、日当、交通費などがかかります。
自分で手続きをすれば、登録免許税だけで済みます。
抵当権の抹消手続きは金融機関では行ってくれませんので、自分で手続きしなければなりません。
登記が残っていても、実質的には抵当権は消滅しており、特に問題はありません。
しかし、将来土地・建物を売却することになった場合、抵当権を抹消しないと売却できないなどの問題があります。
ですから、住宅ローン完済時点で抵当権の抹消の手続きをしておく方がいいと思います。
これで、名実ともに晴れて住宅ローンとはサヨナラです。


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