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元銀行員が住宅ローンのすべてをわかりやすく説明します

公開日:2019年 4月14日
更新日:2019年 4月14日


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住宅ローンのタイプを決める

住宅ローンの借入額と返済期間を決めたら、どのようなタイプの住宅ローンにするかを考えます。
住宅ローンのタイプとは住宅ローンの金利の種類だったり返済方法のことです。
世の中に実に多くの住宅ローンが取り扱われており、それぞれタイプが違うんです。
自分のライフスタイルにフィットする住宅ローンを探していきます。
この章では住宅ローンのタイプについて説明します。


住宅ローン金利の種類

住宅ローン金利の種類は大きく分けて「固定金利」と「変動金利」に分かれます。
さらに固定金利は「全期間固定金利型」と「固定金利期間選択型」に分かれます。
つまり、住宅ローン金利は「全期間固定金利型」、「固定金利期間選択型」、「変動金利型」の3種類に分類されるんです。

全期間固定金利型住宅ローン
全期間固定金利型とは名前の通り、借入申込時または契約時に全返済期間の適用金利が決まるタイプです。
住宅ローンを借りている間、ずっと金利が変わらないんです。
全期間の適用金利が一定のものと途中で金利が変わる2段階の金利(当初10年間と11年目以降など)のものがあります。

固定金利期間選択型住宅ローン
固定金利期間選択型住宅ローンとは、一定期間だけ金利を固定する特約を付けたローンで「当初5年間は金利○%」といったように返済期間中の一定期間は金利が固定されるタイプです。
銀行や、信用金庫、JAなど多くの金融機関住宅ローンの一つの形態で、金利を固定できる期間は金融機関によって異なります。
金利固定期間は2年、3年、5年、7年、10年、15年、20年、25年などがあり、その中から顧客が選択するんです。
その固定期間が終了すると、その時点の金利で変動金利型や固定金利選択型を選べる仕組みです。
ここがミソです。
固定期間が終われば、その終わった時点での金利であらたに変動金利型や固定金利選択型に乗り換えなければいけないんです。
固定期間が終了した時、市場金利が下がっていれば問題ありませんが、もし金利が上昇していればそれからの金利負担が重くなってしまいます。
この固定金利期間選択型住宅ローンはある意味「全期間固定金利型」と「変動金利型」のミックスと言えるでしょう。
金融機関によっては当初選択した固定期間後、再度、固定金利選択型か変動金利型かを選べる所と変動金利型しか選べない所とがあり、取扱いが異なるので注意が必要です。

変動金利型住宅ローン
変動金利型住宅ローンとは、市場金利の変動に伴い返済途中でも定期的に金利が変動するタイプの住宅ローンです。
金利は半年に一度見直しが行われますが、毎月返済する額については、5年に1度の見直しが一般的です。(5年ルール)
金利が変更された後の返済額についても、これまでの返済額の「1.25倍まで」とされており(1.25倍ルール)、「返済額が急激に上昇してしまう」というリスクへの対処もなされています。
商品によっては金利の見直しに連動して半年ごとに返済額が変わるものもあります。
変動金利型住宅ローンの魅力は借入れ時の金利の低さです。
固定金利型はその期間に応じた市場金利すなわち「長期金利」がベースになります。
一方、変動金利型は短期プライムレートとよばれる「短期金利」がベースになります。
変動金利型住宅ローンはベースになる金利が短期金利ですので長期金利がベースになる固定金利型に比べると金利は圧倒的に低くなります。
変動金利型住宅ローンは銀行が金利リスクを負わず、借主が金利リスクを負うので金利が低いのです。
固定金利型は銀行が長期間にわたる金利上昇リスクを負う形になりますので、プレミアムを金利に上乗せすることからどうしても金利が高くなってしまいます。

住宅ローンは固定金利、変動金利どっちがお得?

ここまで「全期間固定金利型住宅ローン」、「固定期間選択型住宅ローン」、「変動金利型住宅ローン」のそれぞれについて説明してきました。
銀行員時代、お客様に「固定金利と変動金利のどっちがいいの?」というお尋ねを何度となく受けました。
どれが一番得なのか、それはその後の市場金利の動向次第で答えはないんです。
返済が終わって、その期間の金利動向からしか結果は出ないんです。
ですから、お客様には「固定金利」と「変動金利」の違いについてご説明し、それを踏まえてご判断いただくしかないんです。
結局その時の経済状況と将来の経済状況を考え判断するしかないのです。
正直、銀行員にも予測はつきませんし、まして一般のお客様ならなおさらです。
傾向としては足元の金利が低い変動金利型を選択されるお客様が多かったですね。
「全期間固定金利型住宅ローン」、「固定期間選択型住宅ローン」、「変動金利型住宅ローン」にはそれぞれメリット、デメリットがありますので、その内容をよく吟味し、自分のライフスタイルのフィットした、返済に無理のないタイプの住宅ローンを選択することが賢明です。
それぞれの金利タイプの住宅ローンのメリット、デメリットなどの詳細については「住宅ローン金利の種類」の章で説明していますので、こちらをご参照ください。

住宅ローンの返済方法

あまり知られていないかもしれませんが、毎月返済を行う住宅ローン返済方法は二通りあります。
「元利均等返済方式」と「元金均等返済方式」と呼ばれるものです。
住宅ローンは借入残高全体に利息がかかります。
元利均等返済方式は毎月の返済額は変わりません。
元金均等返済方式は返済期間の最初の時期は毎月の返済額の負担が大きく、次第に毎月の返済額が減っていくタイプです。
この2通りの返済方法は借入残高の減少するスピードが異なりますので総返済額にも違いがでてきます。
それは毎月の返済における元本と利息の割合の違いによることから生じます。
住宅ローンの利用者の場合、毎月の返済額が一定した「元利均等返済方式」を選択されるケースが大半ですが、総返済額は「元金均等返済方式」の方が少ないんです。

元利均等返済方式
元利均等返済方式とは毎月の返済額(元金と利息の合計)が同じ金額になるように返済する方法です。
毎月の返済額が同じなので返済計画が立てやすいことから住宅ローン利用者の大半はこの返済方式ではないでしょうか。
しかし、ここにカラクリがあるのです。
毎月の返済額は同じです。
毎月の返済額の内訳が重要なんです。
毎月の返済額は元金+利息で構成されます。
返済当初は元金が大きいので利息も大きいのです。
ですから返済当初は、毎月の返済額のうち利息の部分大きく元金の減るペースが遅いんです。
極端な話、住宅ローンの返済当初はほとんど利息を払っているようなもんです。
「毎月住宅ローンを返済しているのに、ローンがちっとも減らない」なんて話を聞いたことはありませんか。
まさにこれが元利均等返済方式の落とし穴なんです。

元金均等返済方式
元金均等返済方式とは、住宅ローンの借入元金を返済回数で割った額に、残高に対する利息を上乗せして返済する方法です。
わかりやすく言えば、毎月決まった返済元金に利息を上乗せした額を返済します。
この方式ですと毎月一定額の元金を返済していくので、元利均等返済方式に比べてローン残高が確実に減りトータルで支払う利息が少なくなります。
しかし、落とし穴があります。
借入残高の減少するスピードは早いんですが、返済当初の返済額が大きくなり返済負担が重いんです。
毎月の返済額は毎月決まった返済元金+利息で構成されます。
毎月決まった返済元金は変わりませんが、返済当初は元金が大きいので利息部分が大きいのです。
返済するに従って毎月の返済額は減っていきます。
しかし、返済当初の負担が大きくなってしまうのがネックです。
返済当初って年齢も若いわけですから、そこで返済負担が大きいのってキツイですよね。

ボーナス併用払い
「元利均等返済方式」と「元金均等返済方式」の返済区分とは違いますが、ボーナス時に返済額を増額する方法があります。
これを「ボーナス併用払い」といいます。
このボーナス併用払いは「元利均等返済方式」と「元金均等返済方式」のどちらにも適用することができます。
ボーナス併用払いとは毎月の返済に加えて、ボーナス支給月に割増しをして返済するものです。
ボーナス月に返済額を増やせる分、毎月の返済額を減らすことができます。
当然、ボーナス払いの比率を高めれば、さらに毎月の返済額は安くなります。
毎月の返済額が軽減されるので利用される方は少なくありません。
しかし、私が銀行員時代は過度なボーナス併用払いはお勧めしませんでした。
ボーナスが当たり前に出ると思い込んでいる方が多いのです。
ボーナスは景気や企業の業績に左右されるため、過度にボーナス返済に依存しすぎるとどうしてもリスクが高くなります。
公務員や大企業の社員でしたらいいのかもしれませんが、ボーナスが安定的でない業種や企業などでは過度なボーナス併用払いを組まないほうが無難です。
実際、ボーナス時の返済で苦しまれている方がたくさんいらっしゃいました。
ですから、ボーナス併用払いを利用する場合はは余裕を持って設定することが肝要です。
住宅ローンの返済方法やボーナス併用払いなどの詳細については「住宅ローンの返済方法」の章で説明していますので、こちらをご参照ください。

まとめ

住宅ローンの金利の種類は変動金利型ですと、市場金利動向次第では毎月の返済額が多く増加するリスクをはらんでいることを理解しておく必要があります。
また、住宅ローンの返済方法でボーナス併用払いを利用する際も過度なボーナス併用払いを利用すると、ボーナス返済時に負担が大きくなりますので、バランスを考えて利用してください。
自分のライフスタイルに合わせた無理のない住宅ローンのタイプを選ぶことが大切です。

住宅ローンの借入額、返済期間、金利種類や返済方法のタイプが決まれば、あとはどこの金融機関に申し込むかを考えます。
次のページで見ていきましょう。

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